資本金=Common stock(Preferred stock)、Share capitalと言うよ。
この記事では英文会計初心者向けに以下を解説していきます
- 資本金とは
- 資本金のポイント
- 資本金に関連する会計英語
英文会計実務や米国株投資の財務分析などに役立ててください
資本金とは
会社が株式(普通株式または優先株式)を発行して集めたお金のこと
Amounts of money a company raises by issuing shares(common stock or preferred stock)
まずはじめに資本金は貸借対照表の純資産(資本)に表示されます。負債ではありません。
以下貸借対照表の構成をイラストで図示しましたが、左:資金の使い道、右:資金の集め方でイメージして見るといいでしょう。
資本金は純資産(資本)に該当するため、返済義務がない資金の集め方となります。
詳しくは以下決算書の読み方を参照ください。
続いて、資本金の英語についての解説です。
資本金はUS.GAAP(米国基準)とIFRS(国際基準)でそれぞれ使われる単語が変わります。
- US.GAAP:Common stock(Preferred stock)
→普通株式(優先株式)という株式の種類で表示 - IFRS:Share capital
→資本金として表示
これが意外と重要なんです。実際の決算書を下で見てみましょう。
結構ありがちですが、上記前提を理解していないとアメリカ企業の決算書を見て「なんでShare capitalがないの?」という事態になるので注意してください。
AppleやAmazonの決算書を見て、Share capitalが見当たらないのはそういうことだったんだね。
資本金のポイント
資本金を理解するには、株式というものを理解する必要があるため以下3つを順番に解説していきます。
財務の人であったり、普段から株式投資を行なっている人でない限りなかなかイメージが難しい分野だと思いますが、ざっくりと読み進めてもらえればOKです。
①株式と株主
資本金を理解するには、そもそも株式や株主がなんなのかを理解する必要があります。
株式とは簡単にいうと、会社を所有する権利のことです。「社長=会社の所有者」と考える人もいますが、必ずしもそうではありません。
特に上場している大企業なんかは「社長=会社の所有者」にはなりません※1。では、会社の所有者は誰か?
「株主=会社の所有者」となります。
この株主とは、その会社の株式を保有する人を指します。つまり、「会社は誰のもの?」と聞かれたら、法的には「株主のもの」となるわけです。
(※1)中小企業などでは、この「社長=株主=会社の所有者」が成立するので「社長=会社の所有者」という構図が成り立ちます。いわゆるオーナー社長というやつですね。
株式を持つ株主は、「株主総会」という会社が開催する一番大事な会議に参加して、所有している会社の社長や副社長などのいわゆる取締役と呼ばれる人々を選んだり、株主に分配される配当金を決定することができるんです。
実際に上場会社の株式を保有していると株主総会招集通知が届いて、上記のような議題の案内が来くるのでイメージがしやすくなりますよ。
②株式の種類
続いて株式に関する基本知識です。株式には大きく2つの種類があります。
- 普通株式(Common stock)
→株式といえば通常こちら。株主総会での議決権と配当などの権利がついているもの。 - 優先株式(Preferred stock)
→株主総会での議決権はないが、優先的に配当を受ける権利がついているもの。
会社は主にこの2つの株式を発行して株主からお金を集めています。そして株式は会社ごとに発行できる枚数があらかじめ定款※2で決まっています。
(※2)定款(Articles of incorporation)=その会社の基本情報や規則などが書かれた会社のルールブック
この発行できる株式の上限を「発行可能株式総数(Authorized capital)」といいます。では、なぜ発行できる株式の上限を定めているのでしょうか?
それは株主保護のためです。
株主総会の議決権や受取配当金などの株主の各種権利の大きさは、「発行済株式数(Issued capital)」のうち自分がどれだけの株式を保有しているかで決まります。
要は自分がどれくらいの比率を持っているかというのが大事なんです。では発行できる株式に上限がない場合どうなりますか?
追加で株式を発行すればするほど、既存株主の株式保有比率が下がってきますよね。
株式保有比率が下がると議決権や受取配当金なども下がってしまう。これを防止するために発行可能株式総数があらかじめ決められているわけです。
③Additional paid-in capitalとは?
アメリカ企業の決算書を見ると「Common stock」の下に「Additional paid-in capital」とありますが、なんでしょうか?
これは日本の会計でいう資本剰余金のことです。
何やら難しい言葉が出てきました。こういうのが会計がわからなくするんですよね。ただ正直初心者の方は資本剰余金を覚える必要ありません笑。
「資本剰余金(Additional paid-in capital)≒資本金」と覚えてもらってほぼ問題ないです。
お金を動かしたり金額変更したりする手続きなどの観点で資本金は色々と面倒、資本剰余金はそこまで面倒ではない。というレベルの違いですから。
またIFRSでは「資本剰余金=Share premium、Capital surplus」といいます。
ここでの詳細な解説は割愛しますので、気になる方はネットなどで調べてみてください。
資本金に関連する会計英語
最後に資本金に関連する会計英語の紹介です。
Issue
[動詞](株式を)発行する
The company issued preferred stock to raise funds for growth and expansion, research and development.
▶︎当社は事業の成長と拡大および研究開発のための資金を調達するために優先株式を発行した。
Outstanding
[形容詞]発行済の
10,000,000 shares are authorized and 1,000,000 shares are outstanding.
▶︎1,000万株が発行可能であり、そのうち100万株が発行済みである。
Repurchase
[動詞]買い戻す、[名詞]買戻し
During 2022, the Company repurchased 100,000 shares of its common stock for $1 million under a share repurchase program.
▶︎当社は2022年中に自社株買い制度に基づき普通株式10万株を100万ドルで買い戻した。
Trade
[動詞](株式を)売買する
Apple’s common stock is traded on The Nasdaq Stock Market LLC under the symbol AAPL.
▶︎Apple の普通株式はナスダックで AAPL というティッカーシンボルで取引されている。
以上
最後まで読んでいただきありがとうございました。
資本金は英語でなんていうの?