【イラスト図解】投資その他資産は英語でなんていう?USCPAがわかりやすく解説

投資その他資産を英語でいうと
相談者のサル

投資その他資産は英語でなんていうの?

お絵描き会計士aki

投資その他資産=Investments and other assetsだよ。

みなさんは「投資その他資産」という勘定科目はご存知ですか?

なんだか漠然とした印象を受けますよね。

そうなんです、その名の通り「投資その他資産」には非流動資産のうち、有形固定資産無形資産以外のさまざまなものが含まれているんです。

この寄せ集め感ハンパない「投資その他資産」ですが、金額的には重要なものも含まれています。

この記事では英文会計初心者向けに以下順番で「投資その他資産」について解説していきます。

  1. 投資その他資産とは
  2. 投資その他資産のポイント
  3. 投資その他資産に関連する会計英語

英文会計実務や米国株投資の財務分析などに役立ててください。

投資その他資産とは

投資その他資産とは
投資その他資産

有形固定資産、無形資産以外の非流動資産のこと
Investments and other assets are non-current assets that are other than property, plant and equipment, and intangible assets.

「つまりなんぞや?」という感じだと思うので具体的にみていきましょう。

投資その他資産には主に以下のものが含まれます。

  • 売買目的有価証券(Trading securities)
  • 子会社株式(Investments in subsidiaries)
  • 関連会社株式(Investments in affiliates)
  • 満期保有目的債券(Held-to-maturity securities)
  • その他有価証券(Available-for-sale securities)
  • 長期貸付金(Long-term loan receivable)
  • 長期前払費用(Long-term prepaid expenses)
  • 差入保証金(Security deposit)
  • 繰延税金資産(Deferred tax assets)
  • 破産更生債権(Claims in bankruptcy)

まずはズラっと並べてみました。なんだが圧がすごいですね。

「投資その他資産」自体には論点やポイントはありません。

それより重要なのはこの「投資その他資産」に含まれる各勘定科目です。

中には説明し始めると長くなってしまう重たい勘定科目もありますが、この記事では「投資その他資産」に含まれるそれぞれの勘定科目についてポイントを押さえて簡潔に解説していきます。

投資その他資産のポイント

ここからは「投資その他資産」に含まれる各勘定科目の解説です。

一部やや細かい論点も含まれています。

経理の決算担当者以外の人は別にそれぞれきちんと覚える必要はなく、「こんなものが投資その他資産に含まれているのね」程度でざっと読み進めていただいて結構です。

はじめは何事もザックリが肝心ですから。ではいきましょう!

有価証券の分類

「投資その他資産」にはさまざまな種類の有価証券が含まれるので、まずは有価証券の分類から簡単に解説します。

株式、国債、社債などを総称して「有価証券」と呼びますが、有価証券はその目的ごとに4つに分類されます。

  • 売買目的有価証券
  • 子会社株式、関連会社株式
  • 満期保有目的債券
  • その他有価証券

有価証券のキモは分類です。分類によって会計処理が変わってきます。ここでは細かい会計処理については触れませんが、それぞれどういうものか以下の図解を見てください。

有価証券の分類

売買目的有価証券が「流動資産」で、それ以外が「投資その他資産」となります。

売買目的有価証券は基本的には上場株式が該当します。これはすぐに現金化できるので「流動資産」と扱うわけです。

子会社株式(investments in subsidiaries)

いきなりですが、みなさんは子会社、関連会社、関係会社のちがい分かりますか?

私は連結決算を担当した当初やや混乱してました。

  • 子会社=議決権の50%超を保有する会社
  • 関連会社=議決権の20%超〜50%以下を保有する会社
  • 関係会社=親会社+子会社+関連会社の総称

図解するとこんな感じです。

関係会社と子会社と関連会社のちがい

関係会社というのはあくまで「親会社+子会社+関連会社」の総称なんです。

ぜひこの機会に覚えてください。

さて本題に戻りますが、子会社株式というのは「子会社への出資額」のことです。

たくさんの子会社に出資している親会社の「貸借対照表(balance sheet)」ではこの子会社株式の金額が大きくなります。

ここは細かい部分ですが、「連結貸借対照表(consolidated balance sheet)」では「親会社の投資(parent’s investment)」と「子会社の資本(subsidiaries’ equity)」の消去(elimination)により子会社株式が表示されないのでご注意ください。

関連会社株式(investments in affiliates)

関連会社株式とは「関連会社(議決権の20%超〜50%以下を保有する会社)への出資額」を指します。

関係としては子会社よりも少し遠い存在です。関連会社をたくさん有する会社の貸借対照表では、この関連会社株式の金額が大きくなります。

こちらも細かい話になりますが、持分法適用会社と関連会社のちがいって分かりますか?

連結財務諸表を作る上で関連会社は持分法(equity method)という方法で、それぞれの関連会社の決算数値を取り込みます。

連結財務諸表上、この持分法という方法で連結している会社のことを持分法適用会社と呼んでいるだけです。

したがって関連会社=持分法適用会社の理解でOK。

正確にはもう少し細かい分類がありますが、ほとんどの人は上記の理解で全く問題ないのでご心配なさらず!

長期貸付金(long-term loan receivable)

長期貸付金とは、返済期限が決算日の翌日から1年以上先の貸付金を指します。

貸付金は流動資産ですが、長期貸付金は非流動資産。

この流動と非流動の区分はワンイヤールールに基づいて行われます。1年以内に現金化できるもの流動、1年超のものは非流動です。

流動と固定の区分についてはこちらの記事を参照ください。

長期前払費用(long-term prepaid expenses)

長期前払費用とは、実際に使用するのが決算日の翌日から1年以上先のサービスに対する前払費用のことです。

こちらも貸付金同様、ワンイヤールールにより前払費用を非流動資産に分類したものです。

それ以上の論点はありません。前払費用の内容だけ覚えておけば十分です。

差入保証金(security deposit)

名前が難しいですが、具体的には家を賃貸で借りるときに支払う敷金などのことです。

保証金のポイントは契約終了時に「返還される」ところ。

たまに保証金を費用と勘違いする方もいますが、将来返ってくるお金なので費用ではなく資産として処理をするのでお気をつけください。

繰延税金資産(deferred tax assets)

税効果会計で出てくる勘定科目です。税効果は苦手な方も多いですよね。

税効果会計の適用対象会社は「①上場会社」と「②会計士の監査を受けている非上場会社」です。

要は大企業ですね。中小企業では税効果会計の適用は強制ではないんです。

ここでは税効果会計の解説は行いませんが、繰延税金資産についてはザックリ「前払した法人税の金額」程度で覚えておけば十分です!

税金の前払をしているので、この分将来会計上で利益が発生しても法人税は支払う必要はありません。なので資産として扱います。

破産更生債権(claims in bankruptcy)

破産更生債権とは「経営破綻状態の会社に対する売掛金などの債権こと」です。

具体的にはある会社に商品を販売後、代金未回収の段階でその会社が破産手続きなどを始めた場合、売掛金が破産更生債権に振り替えられます。

売り手としては最悪ですよね。

破産手続きが開始された場合、売掛金のほとんどは回収できないと考えていいでしょう。

回収できないと判断した金額分の貸倒引当金を積むことになります。

売掛金から破産更生債権への振替と貸倒引当金の計上は、セットで発生すると考えてください。

——-

以上

ここまでが投資その他資産の中身の解説でした。

どうですか?結構いろいろな項目含まれていて内容が濃かったと思います。

はじめにも書きましたが、経理以外の人は「投資その他資産」は細かい部分なので「現金化や消費されるのが1年以上先の資産がいろいろ含まれているんだ」程度の理解で十分です。

経理の人はきちんと覚えましょう!笑

投資その他資産に関連する会計英語

最後に投資その他資産に関連する会計英語の紹介です。

海外スタッフ向けメールや英文での財務報告資料作成などにそのまま使えるように、英単語だけではなくフレーズもまとめました。

Classify
[動詞]分類される
The investment is classified as held-to-maturity securities.
▶︎その投資は満期保有目的債券に分類される。

【有価証券】
Held-to-maturity securities
[名詞] 満期保有目的債券


Trading securities
[名詞] 売買目的有価証券


Available-for-sale securities
[名詞]その他有価証券

Fair value
[名詞]公正価値(時価)
The value of trading securities is measured at fair value.
▶︎売却目的有価証券の価値は公正価値で測定される

Deferred tax
[名詞] 税効果会計

Refund
[動詞]返金する
Security deposits are typically refunded.
▶︎保証金は一般的に返金される

【破産に関連する単語】
Bankruptcy
[名詞]破産

Liquidation
[名詞]精算

Creditor
[名詞]債権者

Claim
[名詞]請求権

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。