AUDは深い知識が求められるから、他の科目とは違う勉強の仕方が必要なんだ。
※この記事は2024年新試験向けに更新済
私は受験の順番として「FAR→BAR→AUD→REG」をおすすめしています。
この順番でいくとAUDは3科目、みなさんFARとBARを合格されて自分の勉強法に少し自信が出てくる頃ではないでしょうか。
はじめに言うと、私はAUDを74点で一度不合格しています。
当時はたまらない気持ちでしたね。
FARと当時BEC(現在はBAR)をストレートで受かったことで、自分なりのUSCPAの勉強法に自信が出てきた頃でした。
なのでAUDもこれまでと同じ勉強法でいけるだろう、そう思って勉強してました。
「FARやBARと同じ勉強法ではAUDはなかなか受からない。」
これがAUD沼の正体なんですね。身を持って体験しました。
ただ落ち込んでいる暇はありません。小さい子どもが3人いるので一刻も早く合格したい。気持ちを切り替えて、勉強法も修正して2週間後に再度受験。
結果82点で合格でした!2週間で+8点U Pです。
2週間で+8点UPってスゴいね。なにかポイントがあったの?
AUDならではのポイントに気づいて勉強法を変えたんだ。これもあとで紹介するね。
74点で不合格となり、そこから2週間で+8点UPさせた私だからこそお伝えできる、皆さんに役立つAUDの勉強方法の解説できると思います。
前置きが長くなりましたが、それでは本編にいってみましょう!
この記事ではAUD勉強当時の私のスペック、勉強時間、おすすめ勉強法について、現役USCPAである私が自分でやってよかったこと、反省点なども踏まえながら2024年新試験向けに解説していきます。
ちなみに私はアビタスで合格しましたが、どの予備校だろうと攻略のコツは変わりません。
AUDの突破を目指すUSCPA受験生の参考になればうれしいです。
AUD勉強開始時のスペック
会計や英語レベルによって勉強時間が大きく変わるのがUSCPA試験の特徴です。
結論としては、AUDは「監査経験」と「英語力」、この2点が勉強時間とスコアを大きく左右します。
ではこの記事を書いている筆者の当時のスペックを紹介します。
- 社会人歴:8年目
- 経歴:管理会計5年、ファイナンス1年、財務会計2年
- 会計資格:簿記2級、建設業経理士2級
- 英語力:TOEIC750-800点程度?
- 監査経験:監査対応、子会社監査役の経験あり
- 平均残業40時間/月
- 子ど3人(4歳、3歳、0歳)
→家は動物園状態
経理としての監査対応、子会社の監査役としての経験があったのが大きいですね。監査でどういったことをやるのか、というイメージはありました。
これはAUDの勉強で非常に大きなアドバンテージ。勉強時間の短縮につながりました。
だからこそ、少しあぐらをかいていた部分もあったかもしれません。
一方、AUDはMC、TBSのどちらも英文の量が多く、高い英文読解力とスピードが求められます。
当時の自分のTOIECレベルは800点いかない程度だと思いますが、自分の英語力の低さが足を引っ張りましたね。英語が得意だったら+3-5点程度スコアが良かったと思います。
英語力は努力でなんとかなるかもしれませんが、監査の方はなかなか経験のない方もいると思います。この監査のイメージを持つコツやオススメ勉強法などはこの後解説します。
僕は監査経験がないから経験ある人がうらやましいよ
AUDの勉強時間とスコア
最終的な勉強時間とスコアは250時間で82点でした。
1回目の不合格時と2回目の合格時のそれぞれの勉強時間とスコアです。
- 1回目受験時 200時間勉強→74点
- 2回目受験時 +50時間勉強→82点
当時は9/15に不合格、2週間後の10/2に再受験というタイトなスケジュールでした。
子どもが生まれたばかりだったので、金銭的に絶対落ちたくないと思って受けたのに、なんと74点。
不合格を見たときは震えましたね、AUDをなめてた自分に対する怒りで。
正直その日の仕事は手につかなかったです。家帰ってめっちゃ酒飲みました笑
この怒りでスイッチが入り、2週間で50時間という怒涛のスパートをかけて合格という感じ。
レベル別 AUD勉強時間目安
基本勉強時間は300時間と考えます。
※新試験では「COSO」「経済」が追加されましたが、あくまで監査に必要な知識レベルを問う問題が想定されるため影響は軽微と考えます。
この時間数は「監査経験なし」で「TOEIC800点前後」の想定です。
先ほども説明しましたが、AUDの勉強時間とスコアは「監査経験」と「英語力」に左右されます。
「監査経験がある場合」、「英語力が高い場合」のそれぞれの勉強時間イメージは以下のとおりです。
- 基本(監査経験なし、TOEIC800点前後)
→300時間 - 監査経験なし、TOEIC900点超
→250時間 - 監査経験あり、TOEIC800点前後
→200時間 - 監査経験あり、TOEIC900点超
→150時間
※旧試験、新試験ともに勉強時間は変化なし
「監査経験あり=−100h」、「高い英語力=−50h」の分だけ勉強時間が減るイメージですかね。
やっぱり監査経験があるとAUDでは圧倒的に有利です。
なぜなら、日本でもアメリカでも監査の流れ、考え方、手続きは基本同じですから。
AUDのおすすめ勉強法
AUDの勉強法および攻略のコツは以下4つです。
自分がやって良かったこと、反省点などをふまえてまとめました。
それぞれ順番に解説します。
①MC演習よりテキスト精読重視
上記タイトルがAUD勉強のキモ。声を大にして言いたいです。自分の反省からです。
自分の経験上、MC演習を繰り返すことがUSCPA合格の最も効果的な勉強だと考えています。
FAR、BAR、REGはMCをやればやるほど、点数が伸びて安定していきます。
しかし、AUDだけは違うんです。
そのやり方だと70点前後で点数が頭打ちになります。
なぜか?
AUDではEvaluationという深い理解が求められる最高難易度の問題が出題されるからです。
以下旧試験vs新試験のAUDのスキルレベルの構成ですが、Evaluationの比率は変わりません。
AUD Skill | 旧試験(a) -2023年 | 新試験(b) 2024年- | 差(b-a) |
---|---|---|---|
Evaluation【評価】 (難) | 5-15% | 5-15% | – |
Analysis【分析】 (やや難) | 20-30% | 15-25% | ▲5% |
Application【応用】 (やや易しい) | 30-40% | 30-40% | – |
Remembering and Understanding【記憶と理解】 (易) | 25-35% | 30-40% | +5% |
MCの問題って結局一問一答形式なので、問題自体もシンプルで深い理解がなくても選択肢が選べてしまうんですよね。
そしてMCをやればやるほど、問題と答えのパターンがなんとなく分かってしまい、反射的に選べてしまう。
結果、自分の選んだ解答の理由などを深く考えなくなってしまうんですよね。
でもMCの正答率は徐々に上がっていくので、なんとなくできているような感覚に陥ってしまう。
これがAUDの勉強で本当に恐ろしい落とし穴なんです。AUD沼の入り口が見えてきている状態です笑
ではどうするか?
テキストの精読です。
精読の際は以下を意識しましょう!
- なぜそうなるのかを突き詰めて、腹落ちさせる
- テキストに自分の言葉で理屈や考え方を書き込む
×「精読=暗記」ではありません。
○「精読=深い理解」なんです。
監査とは「財務諸表に重大な虚偽表示がないことを保証する証明業務」です。
数学の証明などと同じで、証明は論理の飛躍がないよう合理的に行われます。そして合理的なものには必ずその理屈や理由があります。
ぜひ、この理屈や理由の深堀を意識してテキストの精読を進めてください。
これを意識するだけでAUDの70点前後の点数が合格ラインに乗ってくると思います。逆にこの理屈や理由がモヤモヤしたまま試験を受けても、AUDの合格はなかなか難しいです。
②監査の流れを頭に叩き込む
アビタスのテキストだとはじめの方に監査の流れの図があります。他の予備校のテキストにも必ずあると思います。
まずはこの監査の流れ、順番をカンペキに頭に叩き込んでください。
なぜか?
監査の全体像の中で、それぞれの細かい監査手続きのポイントが体系的に整理することができるようになるからです。
まずは監査の全体像という幹を固めた上で、それぞれの手続きのポイントなどの枝葉を詰め込んでいく。これがAUD鉄板の勉強の進め方です。
そして、MCやTBSの演習をするときは「この問題は監査の流れのどこの部分か」というのを意識しましょう!
これにはメリットが2つあります。
- 「監査の流れからすると、この選択肢はありえない」と即座に選択肢を消せる
- 問題を解く中で、監査の流れの記憶が再強化される
私もそうでしたが、はじめの頃は監査の流れが定着しにくいと思います。ただ日々これを意識して勉強を行うことで、自然と定着するものなので心配は不要です!
それでもテキストだけだと、なかなか監査のイメージが湧かないよ
その場合、書店で監査の本を読んでイメージを膨らませるという方法もあるけど、無料でオススメのものもあるよ。
監査のイメージを作るには、日本公認会計士協会のサイトもオススメです。
結局のところ監査のやり方はアメリカも、日本もほとんど一緒なんですよね。監査用語の解説などもあり、テキストの補助教材として効果を発揮します。
③監査報告書の読み込み
これも自分の反省からです。まずは以下を見てください。
結論としては、Forming Conclusion and Reporting分野はMCで20-40%程度出題されると考えられます。
結構な比率ですよね?
ではForming Conclusion and Reportingとはなんなのか。
AUDのBlueprintを見ると、Forming Conclusion and Reporting分野は以下2つで構成されています。
- 監査報告書
- CPA業務(Review、Compilation等)
※出題レベルは「Remembering and Understanding」と「Application」の単純な問題が中心
ネットなどでAUDの勉強法を調べるとこんなことを書いている人も多いと思います。
「監査報告書を音読した」
「監査報告書を暗記した」
1回目の受験の時は「そんなバカな笑」と思って、ざっと流して読んだ程度で受験に臨みました。
そしたらどうか。
監査報告書の内容の順番や文言など、監査報告書に関する問題が結構出るんですね。しかも結構細かい部分まで。なので悩む、悩む。
監査報告書を読み込んでいたら簡単に解けただろうという問題ばかりでした。知ってるか知っていないかのレベルなので。
そして2回目の受験に向けてテキストに記載の以下監査報告書の例を読み込みました。
- 無修正意見(Unmodified opinion)
以下も含めて
・追記情報区分(Emphasis-of-matter)
・その他情報区分(Other-matter) - 限定意見(Qualified opinion)
- 不適正意見(Adverse opinion)
- 意見差し控え(Disclaimer of opinion)
その結果、2回目の受験では監査報告書の問題は余裕でした笑。
即答できる問題ばかりなのでMC時間の短縮にも寄与しました。
さらに監査報告書を読み込んだことで、「なるほど、テキストのあの部分のやりとりや手続きはここに帰着するのか」というように監査の本質的な理解も強化されたように思います。
一言一句の暗記までは全くもって不要ですが、音読は記憶の定着に役立つのでおすすめですね。
問題文を読んで「監査報告のこの部分に書いてあったよな」と反応できる状態まで仕上げればOKです。
④CPA業務の整理
最後はAudit、Review、Compilation、Examination、AUPなどの各CPA業務のポイントを整理することです。
先ほども説明しましたがMCではこれら各業務の特徴や違いを聞いてくる問題が頻出します!
対策としては一覧表を作ることをオススメ。今回は参考までに私の方でまとめてみましたので、ぜひご覧ください!
自由にダウンロードいただいて問題ないのでご活用ください。
私はこのようなまとめ表をトイレの壁に貼って毎日眺めて暗記してました。
おわり
以上4つが74点で一度AUDを落ちた私の反省点も含めたAUDおすすめ勉強法でした。
繰り返しになりますが、AUDには監査への深い理解が求められます。
そりゃ、監査が本業の会計士の試験ですから当然といえば当然です。
深い理解はMCの繰り返しだけではなかなか身につきません。そこはやはり「テキストの精読」なんですよね。
AUDを合格すると残りはREG。REGは正直FAR、BAR、AUDを受かっている人であれば必ず合格できる科目なので、安心してください。また別の記事で解説します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
AUDの勉強時間とおすすめ勉強法を教えてよ。