流動資産=Current assetsだよ。
この記事では英文会計初心者向けに以下を解説していきます
- 流動資産とは
- 流動資産のポイント
- 流動資産に関連する会計英語
英文会計実務や米国株投資の財務分析などに役立ててください
流動資産とは
1年以内(within a year)に現金化(converted to cash)、売却(sold)、または費用化(consumed)する資産のこと
具体的には以下の勘定科目が流動資産です。
勘定科目の詳細はリンクから別記事を読んでください。
おさらいですが、貸借対照表(balance sheet)の左側に資産(aseets)が計上されます。
そこから資産は以下2つに分類されます。
- 流動資産(current assets)
- 固定資産(fixed assets/non current assets)
流動と固定ってどう分ければいいの?
流動なのか、固定なのかは以下の考えで分けられます。
それは、「1年以内に現金化、売却、または費用化される資産かどうか?」
この考え方をワンイヤールール(one year rule)といいます。
- 1年以内に現金化であれば→流動資産
- 1年以上で現金化であれば→固定資産
流動資産か固定資産かについては、とりあえずはこのワンイヤールールを覚えておけばよいでしょう。
流動と固定の分けはワンイヤールール以外にも、もう一つ考え方があります。
これが正常営業循環ルール(normal operating cycle rule)です。
こちらについてはぶっちゃけ、経理の仕事をやっている人以外は覚えなくていいです。
興味ある方だけ読んでください。
たとえば、ゼネコンや重工業業界では製造に1年以上かかるのがザラです。
具体的には、購入した原材料などが製品となって販売され、現金として回収されるまでには1年以上かかってしまいます。
ではその場合、「売却までに1年以上かかる原材料は固定資産として計上しなければいけないのか?」
違います!そうではないんです。
原材料の購入から、製品の製造、販売、代金の回収までを通常の過程(正常営業循環)と考えて、その過程の中であれば1年以上先に現金化、売却、費用化される資産であっても、流動資産とするという考えです。
これが正常営業循環ルールによる流動、固定の分け方です。
原材料の購入から製品の製造、販売、代金の回収までの企業活動の中で現金化、販売、または費用化される資産は流動資産とする
ワンイヤールールがシンプルで好き
ぶっちゃけワンイヤールールだけ覚えておけばいいと思うよ。シンプルが一番!
流動資産のポイント
流動資産のポイントはズバリ
- 流動比率(curent ratio)
- 当座比率(quick ratio)
これに尽きるでしょう。
財務分析の中でも重要な指標のひとつです。
以下それぞれの計算方法と、この指標でなにがわかるのかイラストで解説していきます。
流動比率の計算方法
企業の短期的な支払い能力を測る指標
「流動資産(current assets)÷流動負債(current liabilities)」で計算
みなさんはお金が支払えないお客さんに商品を売りたいですか?
当然Noですよね。
では、お客さんがお金を支払えるのか調べるにはどうすればいいのか?
そんなときは流動比率をみることで企業の支払い能力がわかります。
流動資産とは、「1年以内に現金化する資産」であり
流動負債とは、「1年以内に支払う負債」のことです
つまり、例えば以下のように流動資産の方が流動負債よりも小さければ、理屈上は到来する1年以内の支払いを全て完了することができません
▶︎流動資産90で流動負債100であれば、差額10が支払えない、流動比率は90%となる(流動資産90÷流動負債100)
流動比率は何%あれば安全か?という疑問があると思いますが、経験上個人的には150%を超えていればまず安全だと判断しています。日本企業の流動比率の平均値は次のリンクから確認できます。財務分析サイト「ザイマニ」(←財務指標が網羅的にまとめられているので非常に便利!)
流動比率が100%を下回ると資金繰りはやばいの?
たしかにギリギリだと思うけど、例えば売掛金の回収が1ヶ月後、買掛金の支払いが2ヶ月後のように現金の回収の方が早い場合は、資金繰りとしては問題ないよ。流動比率は業界ごとに差があるね。
一般的に製造業は流動比率が高く、小売業は流動比率が低くです。
流動比率の大小は、「原材料購入から商品の代金回収までの期間」と「仕入先への支払い期間」の2つで決まります。
簡単なメカニズムは以下のとおり(気になる方だけ読んでください)
(例)
「原材料購入から商品の代金回収までの期間が6ヶ月」
「仕入先への支払い期間が2ヶ月」の場合
▶︎2ヶ月後には買掛金が減るので流動負債が減る、しかし流動資産は変わらない(仕掛品または売掛金のまま)、結果として流動比率は高くなる→製造業の典型例
当座比率の計算方法
流動比率よりもシビアに企業の短期的な支払い能力を測る指標
「(流動資産(current assets)−棚卸資産(inventory))÷流動負債(current liabilities)」で計算
棚卸資産ってなんでした?
原材料(raw materials)や仕掛品(work-in-process)、製品(finished goods)のことでしたね。
これらはお客さんに売らない限りは現金にはなりません
詳細は以下リンクより確認してください
当座比率を計算する分子は流動資産から棚卸資産を引いています。
棚卸資産を差し引くので結果として残った資産は現金や売掛金など、より換金性の高いものになります。換金性の高い資産のみで企業の支払い能力を測るのが当座比率になります。
その結果、当座比率は流動比率よりも小さくなるんだ
当座比率は流動比率よりシビアに支払い能力をみれるんだね
私自身が財務分析をするときは当座比率は120%以上あれば、とりあえず安全とざっくり判断しています。
流動資産に関連する会計英語
最後に流動資産に関連する会計英語の紹介です。
海外スタッフ向けメールや英文での財務報告資料作成などにそのまま使えるように
英単語だけではなく、フレーズを中心に独自にまとめました。
liquidity
[名詞] 流動性(現金化のしやすさ)
例)Our company should improve our liquidity to pay off debts.
▶︎我が社は負債の支払いのために、流動性を高める必要がある
convert to cash
[動詞] 現金化する
Current assets can be quickly converted to cash
▶︎流動資産はすぐに現金化するのが容易である
short-term
[形容詞]短期間の
Short-term investments such as marketable securities held for sales are included in current assets.
▶︎売却目的で保有する有価証券などの短期投資は、流動資産に含まれる
within a year
[副詞] 1年以内に
以上
最後まで読んでいただきありがとうございました。
流動資産は英語でなんていうの?