【イラスト図解】キャッシュフローの現在価値と将来価値とは?割引率や計算方法をわかりやすく解説

現在価値とは
相談者のサル

現在価値ってなに??

お絵描き会計士aki

聞きなれない言葉だよね。ただファイナンスでは非常に重要な考え方なんだ。イラストでわかりやすく解説するよ。

現在価値。ふだんの生活で出てこない言葉です。

私も最初はなんのこっちゃ?でした。

結論からいうとお金の現在価値とは以下のとおりです。

お金の現在価値とは

ある利回り(複利)により生じる、お金の将来価値を現時点の価値に戻したもの

つまり現在価値を計算するには以下2つが必要なのです。

  • 将来価値
  • 利回り

現在価値を理解するには、まずお金の将来価値というものを知る必要があります。

将来価値→現在価値という順番があるんです。

順番どおりやればカンタン、簡単。

まず将来価値について以下、かんたんな例で考えてみましょう。

お金の将来価値:100万円の1年後の価値は?

いきなりですが、問題です。

あなたはいま100万円を持っています。
この100万円で年利1%の国債を購入しました。
1年後、この100万円はいくらになっているでしょうか?

正解は、101万円です。

100×1.01=101で出ますね。

結論としては、

101万円=100万円の1年後の将来価値

となります。

ここまではいいですよね!?

将来価値

お金の将来価値:100万円の2年後の価値は?

では、次の問題です。

100万円の2年後の将来価値はいくらですか?

  • 1年後の将来価値:100×1.01=101
  • 2年後の将来価値:101×1.01=102.01

できましたか?

そうです、複利の計算ですね。答えは約102万円ですね。

将来価値

複利の計算についての解説は割愛しますが、要は1年後に獲得した101万円を再投資したということです。

この複利の考え方が、将来価値のキモです。

3年後、4年後も同じ考え方で将来価値を計算することができます。

お金の将来価値とは

ある利回り(複利)により生じる、将来のある時点でのお金の価値

例:利回り1%|100万円の1年後の将来価値=101万円

相談者のサル

将来価値はわかったよ。利回りがわかれば計算できるね。

お絵描き会計士aki

この将来価値の計算の仕組みを頭にいれておいてね。

お金の現在価値:1年後101万円の現在価値は?

続いてメインディッシュの現在価値についてです。

結論から先にいうと、現在価値は将来価値との考え方をします。

相談者のサル

よくわからないよ、もったいぶらずに早く教えてよ。

お絵描き会計士aki

大丈夫、あとからかならず意味がわかるよ。

またまたいきなりですが、問題です。

100万円で利回り1%の国債を購入した場合
1年後の将来価値は101万円に
この101万円の現在価値はいくらでしょうか?

正解は、100万円です。

101万円÷1.01=100万円で出ますね。

結論としては、

100万円=1年後の101万円の現在価値

現在価値

ちょっと待ってください。

あれ?似たような問題をやってませんか?

そうなんです。将来価値の計算のまさにをしているだけなんです。

お金の現在価値:2年後102万円の現在価値は?

では同じ利回り1%の条件で、2年後の将来価値102万円の現在価値はいくらですか?

2年後の将来価値102万円の現在価値:102.01÷1.01÷1.01=100

答えは100万円ですね。

現在価値
相談者のサル

わかったような、わからないような。。。でもやっぱりわからない。

現在価値の計算方法

下のイラストをみてください。

現在価値の計算方法

ようは以下2つがあってはじめて、現在価値が計算できるのです。

  • 将来価値
  • 利回り

将来価値を利回りを使って現時点の価値に戻したもの。

これが現在価値です。

冒頭に現在価値には順番があると書きましたが、これが理由になります。

お金の現在価値とは

ある利回り(複利)により生じる、お金の将来価値を現時点の価値に戻したもの

この現在価値を計算する際に使う利回りのことを、会計やファイナンスでは割引率といいます。

お絵描き会計士aki

割引率というワードは会計やファイナンスの世界ではよく出てくるよ。知ってて損はない言葉だね。

利回りと割引率の関係についてもう少しみてみましょう。

利回りと割引率の関係

結論としては利回りと割引率はコインの裏表の関係にあります。

利回りと割引率の関係

同じ意味なのですが、使用する状況で呼び方が異なるだけです。

  • 現在価値から将来価値の計算に使う利率
    =利回り
  • 将来価値から現在価値の計算に使う利率
    =割引率

実務上は上記のように考えて問題ないです。

相談者のサル

将来価値から利回りの分だけ割り引いて現在価値を出すから、割引率というんだね。

ではここまでの前提を使って、将来キャッシュフローの現在価値を求めてみましょう。

将来キャッシュフローの現在価値の求め方

あなた100万円を持っています。
投資案件Aと投資案件Bの話がありました。
どちらに投資するのがお得でしょうか?
どちらのリターンも合計は120で同じです。
割引率はどちらも6%とします。

A:1年後10、2年後10、3年後100
B:1年後30、2年後50、3年後40

正解は、Bです。
Aの現在価値102 < Bの現在価値106 だからです。

計算方法は以下のとおりです。

将来キャッシュフローの現在価値

1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と遠い将来にいけばいくほど、たくさん割り引かれてしまうということになります。

なので、現在価値を最大化するには、なるべく早めのリターンが必要になります。

将来キャッシュフローの現在価値の求め方

将来時点におけるキャッシュフローをそれぞれ現在価値に戻して合算

例:割引率6%|リターンは1年後30、2年後50、3年後40の場合
■1年後30の現在価値
28.30(30÷1.06)
■2年後50の現在価値
44.50(30÷1.06÷1.06)
■3年後40の現在価値
33.58(30÷1.06÷1.06÷1.06)
キャッシュフローの現在価値106.39

現在価値の計算で使う割引率

相談者のサル

現在価値の計算方法はわかったけど割引率はなにを使えばいいの?

お絵描き会計士aki

とてもいい質問だね。割引率の設定は上級ファイナンス論点だから、ここでは少しだけ説明するよ。

結論から言うと、現在価値で使う割引率は以下のとおりです。

現在価値の計算で使う割引率

現在価値の計算で使う割引率
=計算対象のキャッシュフローに期待する利回り

したがって、計算対象と状況によって使用する割引率は異なります。

ここではザックリ割引率というものの考え方を整理します。

おさらいになりますが、割引率とはなんでしたか?

将来価値を現在価値に戻すための利回りのことでしたね。

そうです、要は利回りなんです。

と考えればいいのです。

キャッシュフローに期待する利回りはおおむね以下の考えで構成されています。

期待利回りの基本的な考え方

無リスク金利(10年物国債)

リスクを加味した上乗せ(この部分は案件ごと変動)

ただ、正直この式だけみてもよくわからないと思います。

この論点はけっこう奥が深いのでまた別の記事で解説しますが

使用する割引率は例えば以下のとおりです。

  • 銀行預金であれば銀行の預金利率
  • 社債であれば実行利子率
  • M&Aなどの企業価値であればWACC

現在価値が議論になる場合の多くは企業価値ですかね。

企業価値算定の際に使う割引率といえば、WACCです。

このWACCについてもまた別の記事で解説しますが

日本企業のWACC平均は5-7%といわれています。

ちなみにわたしが担当した国内企業のM&A案件でも割引率はほとんどが6%を使ってました。

なので企業価値計算における割引率に限っていえばとりあえず6%決めうちでも、問題ないと思います。

相談者のサル

よくわからないけど割引率は6%で設定してみるよ。

お絵描き会計士aki

なんでもかんでも6%じゃダメだよ。割引率を使う状況をよく考えてね。

現在価値で使う割引率

まとめ

おつかれさまでした。以下まとめです。

お金の将来価値とは

ある利回り(複利)により生じる、将来のある時点でのお金の価値

例:利回り1%|100万円の1年後の将来価値=101万円

お金の現在価値とは

ある利回り(複利)により生じる、お金の将来価値を現時点の価値に戻したもの

将来キャッシュフローの現在価値の求め方

将来時点におけるキャッシュフローをそれぞれ現在価値に戻して合算

例:割引率6%|リターンは1年後30、2年後50、3年後40の場合
1年後30の現在価値
28.30(30÷1.06)
2年後50の現在価値
44.50(30÷1.06÷1.06)
3年後40の現在価値
33.58(30÷1.06÷1.06÷1.06)
キャッシュフローの現在価値106.39

どうでしたか?けっこう難しいですよね。

ただこの現在価値という考え方、ファイナンスでは超重要です。

お絵描き会計士aki

株価も基本はこの現在価値という考えにもとづいています。

現在価値を知らないというのはファイナンスの世界では

地図も持たずに知らない国を旅するようなものです。

それほどに現在価値という考えは大事です。

この機会にぜひマスターしてみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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